チェレスタのアクション

 

♦ ドラムのチューニングに関しての考察 ① ♦

 

 

ドラムのチューニングについては、ドラマー及びドラム技術者の方々それぞれの考え方があると思いますが
基準となるノウハウ、及びデータが公表される事が殆どありませんでした。
随分前から、打面/ボトム面のチューニングの関係を、完全4度・完全5度・長3度・短3度・オクターブ・
等々の基礎音程の組み合わせの中で、より自然で楽音に近く伸びのある音になる組み合わせを探りながら
実際現場で提供させて頂き、恐縮ではありますが、奏者の方々の反応を観察させて頂いた結果、弊社では
完全4度チューニングが良いと判断して、2001年の設立当初からこのチューニングを標準としてレンタル
楽器を提供する様にしております。
そこで、ここでは弊社のタムのチューニングについて説明させて頂きます。
あくまで一つの考案として、参考になれば幸いに思います。

 


 完4
 チューニング
 

 

完全4度(完4)チューニングは、前項でも記した様に打面とボトム間の音程を完全4度で、テンションは
打面を低くボトム面を高くしています。ピッチはドラムキットの仕様によってポイントが違うので、その
都度音色を聞き、試行錯誤しながら、良きポイントを決めています。
(ちなみにヘッドは、打面:クリアエンペラー/ボトム面:クリアアンバサダを標準にしてます)
音色は、ファットでサスティーンも長く、比較的どんなドラムにも使用できます。
 
例1 弊社 YAMAHA Maple Custom Absolute の完4チューニングの一例
 

 


 短3
 チューニング
 

 

短3度(短3)チューニングは、打面とボトム間の音程を短3度で設定します。主にコーテッドアンバサダ
を打面・クリアアンバサダをボトムに使用する際に的していると個人的に思っています。このヘッドでの
完4チューニングでは、強く叩いた時、アタック直後に "ヴァイン!"という感じの2次音 (特に14"FTなど)
が発生します。打面で使用するヘッドが薄ければ起こりやすい様で、コーテッドエンペラーではほとんど
気になりません。
短3チューニングでは、完4にくらべるとタイトな音になりつつも、意外と自然なサスティンが得られる上
この2次音を抑える事ができます。セットによっては、通常のヘッドでも完4がイマイチの時はこのチュー
ニングにする事もあります。
 
例2 弊社 YAMAHA Maple Custom Absolute の短3チューニンングの一例
 

 


 逆短3
 チューニング
 

 

ジャズで使用のドラムに、短3チューニングの打面とボトムを逆に(打面を高く/ボトムを低く)した
チューニングを施す事もあります。このチューニングはハイピッチで、特にバスドラムが18"の時に
12"TT/14"FTのチューニングで使用しています。音色は高次倍音が多く音の減衰は短くなります。
ジャズドラマーは、打面の方をテンションを高くされてる方が多かったので、弊社の18"BDのセット
ではこのチューニングでご用意する様にしてます。
ただ、18"BDの3点ドラムですと非常にポイントを探すのに苦労するのと、合わないドラムキットも
あるので、最終的に普通のチューニングに戻す事も多々あります。
 

 タム間の
 完全4度音程
 

 

先に記述しました通り、弊社では各タムの打音を、完全4度ずつの音程(間隔)をとってチューニング
する様にしています。
完全4度であれば、曲の調性(Key)にかかわらず意外としっくりくるのではと考えました。
長3度間隔、完全5度間隔、短3度間隔では、「ド・ミ・ソ」の3和音を主張する事となり、すべてのKey
との調和を考えると、3和音が協調する特定のKeyでは良くても、他のKeyではすごく違和感を感じる事
が多くなると思います。完全4度は特定の和音に縛られる事がなく、等間隔なので意外と違和感がないと
考えます。
完4チューニングでの音のつながりの良さと、チューニングの利便性(しやすさ)もあり、この完全4度
間隔のチューニングを弊社では採用しています。

ちなみに、これらのドラムチューニングにつきまして「マイクのり」「ハウリングの対処」等は考慮して
おりません。生音が「より良く、より伸びる音を」という基本的チューニングに関しての考察ですので、
予めご了承下さい。


 

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